2006年01月05日

金曜日〜青髭兄弟のテーマ〜

ヒマではないんだけど、なんだろう。書きたくなった。
タイトルの曲聞きながら適当にSS書いてみた。
歌詞を全然再現しきれてないケド。
ちょい締まりが変かなぁ。

ちなみに"金曜日"は、
愛知県内にある駅、刈谷・知立・三河安城に現れる
ストリートバンド「だんぼ〜る」さんの曲。

気がつけばあいつも親父〜♪



 ハッと目を覚まし携帯電話を見る。ディスプレイに映った時刻を確認して胸を撫で下ろした。寝過ごしたりはしていないようだ。

 どうやら振動に揺られる内に軽く眠ってしまったらしい。我ながら呑気なものだが、平和な証かもしれない。

 変な体勢で寝たため少し痛んだ首をほぐしながら窓の外を見るが、流れる光景はずっと似たようなものだった。いい加減少し飽きてきた。

 電車に揺られてから三時間。窓から伺える景色は当然変わっているものの、こうも似ていては全く実感がない。時が止まっている錯覚すらしそうだ。

 この光景を見ながら昔はこの電車に乗っていたのか。遊びに行くためとはいえ、よくやったものだと思う。きっとそれが若さ特有の自由さと青春なのだろう。とはいっても、遊びに行ったのは近場が主だ。見慣れた風景はまだ先になる。

 まるで時代に置いていかれているような田舎の風景。窓の向こう全体が何も変わらず、何もしていないのに時間だけが過ぎている感じだ。

 この景色が嫌いだった。変わり栄えのない日常が窮屈だった。

 飛び出すように田舎を出て就職し数年。確かに慌しい毎日ではあるが、結局窮屈な毎日を送っている。今の自分も昔の自分も、本当は何も変わっていないのかもしれない。外の景色と同じで、時間だけが過ぎていったのだろうか。

 「バカみてぇだよな、オレ。」

 何となく呟いた。誰かに聞かれる心配なら皆無だ。なぜなら、周囲を見ても自分以外誰も乗っておらず、車両一つが貸切に近い。住み慣れた都会では想像すらできないだろう。

 田舎に帰るだけだというのに、いつもの無作法な格好ではなく、わざわざ久しぶりにお洒落までしている自分が急にバカバカしくさえ思えた。

 誰も乗っていないのをいい事に、ポケットからタバコを取り出して火をつける。携帯灰皿は家に置いてきてしまったが、吸殻など窓から捨てれば十分だろう。

 立ち上る紫煙を眺めながら数週間前に届いた手紙を思い出した。

 送り主は学生時代に付き合っていた女の名前が書かれていた。長々と色々書かれていたが要するに同窓会をするから来てくれ、といった内容だった。生まれたばっかりの子供も連れて行くね、とも。知らなかったが結婚していたらしい。

 結婚相手の名前も書かれていて、知っている名だった。高校の頃よく殴りあった悪友の名前ではないか。お互いバカな事ばっかりやっていたが、オレと違ってあいつは落ち着いたのか。

 「気がつきゃあいつも親父…か。」

 紫煙交じりにまた呟く。まだ若いと思って生きてきたが、オレもあいつもそんな歳になっていたのか。

 最初は出席する気などなかったが、子供が出来て幸せそうにしてるあいつらのツラを拝むのも悪くない。そうして数年振りに田舎へ戻ってくることにしたのだ。

 そろそろお前も結婚を考えたらどうだ、なんてお節介な同僚からよく言われる。だが、結婚しないと幸せが手に入らないなんてふざけてる。あえて自分は今の生き方で変わらずに生きてやるつもりだ。

 タバコを最後に力強く吸って窓から投げ捨てるときに、ようやく見知った景色が見れた。なんだ、この辺りも全然変わっちゃいない。

 かつて遊びまわった場所を電車から眺めていると、当然だがあっという間に過ぎて行く。去ってゆく景色を見ていると、ボンヤリとだがどこか切ない気持ちになった。

 田舎の電車から見れる景色というのは、ある意味人生と同じではないか。遅いようで早い、変わっていないようで変わっている。そして隣を過ぎ去る自分の足が速すぎるから、当時を思わせる物は一瞬で過ぎ去っていく。

 ガラにもなく綺麗事に例えようとしたが、そんな綺麗に浮かびやしない。しかし、まぁ、その方が不器用な自分らしくて良いかもしれない。

 景色に見入っている内に降りる予定の駅が近いことを告げるアナウンスが流れた。降りる準備をしながら立ち上がろうとして、やめた。このまま乗っていくの面白そうだ。

 この電車の行き着く先はどこにあるのだろうか。

 どこだっていいじゃないか。どこにだって連れて行きやがれ。どこだろうとオレは生きてやるぜ。

 薄れいく昨日と今日の狭間で電車は走り続ける。


 
posted by カナ と色々 at 16:55| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
数日前にコメントしたつもりだったが、送信してなかったみたい…
あの曲をモチーフにかぁ、奴らも喜ぶぜ!
電車の中じゃなかったが、同じ様なことが現実にあったなぁ…

Posted by 青髭兄弟一号 at 2006年01月09日 20:50
安直だけど、ブルハのトレイントレインから、どうしても人生=電車を連想してしまう。
電車が出たのはそれだけです。
Posted by kana at 2006年01月11日 20:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。